全国をまわる農文協職員が集めた元気な活動の数々をご紹介します。「ゆるがぬくらし」「ゆるがぬ地域」づくりに取り組む各地の耳寄りな情報です。

二本松市で有機農業を営む佐藤佐市さん(73歳)は、中山間直接支払の集落協定「西谷集落」の事務局を務めています。
5~6年前、集落の真ん中にある30aの畑が耕作放棄地になってしまいました。後継者の息子は勤め人で農業はしていません。草刈りも大変そうでした。そこで景観のためにもみんなで管理するからと説得し、集落協定に入ってもらったうえで、その畑で3年前から小麦をつくっています。
共同作業の作業賃や肥料代にかかる11万円は直接支払いの交付金を充てています。品種はうどんに向くきぬあずま。収穫・乾燥調製までしたものを加工業者に委託して小麦粉とうどんにします。
加工賃は小麦粉1kg300円、うどん乾麺500g300円。集落協定のメンバーはこの価格で購入できます。集落の景観がよくなり、国産・無農薬小麦が安く買えると好評です。「輸入品に頼らず自給すっぺということ」。佐藤さんはニヤリと笑いました。
今年の5月には、西谷集落を含む旧下太田小学校区で「太田の里ふるさとづくり協議会」が立ち上がり、佐藤さんは副会長になりました。六つの集落協定の事務を一元化して引き受ける農村RMO組織です。協議会でも空いている農地に小麦や大豆、景観作物を栽培する計画が立っています。
文=櫻井歓太郎(農文協)