本誌や『現代農業』などを携えて全国をまわる農文協職員が集めた元気な活動の数々をご紹介します。「ゆるがぬ暮らし」「ゆるがぬ地域」づくりに取り組む、全国各地の耳寄りな情報です。

大崎市に広がる水田地帯は「大崎耕土」と呼ばれ、世界農業遺産に認定されています。この地域では数百年前から、強い風を防ぐため、スギやマツ、竹など様々な樹種で屋敷を囲う「居久根(いぐね)」がつくられてきました。今も2万軒以上の屋敷に居久根が残っているそうです。
居久根の効果は防風だけではありません。田畑の害虫を食べる天敵の棲みかになったり、タケノコが採れたりとさまざまな恵みが得られます。しかし、高齢化などで維持できなくなり、居久根を伐採する家もでてきました。
そこで市内の沢田上地区では5年前に、居久根が残る23軒で「沢田上地区居久根景観保全会」を結成しました。会では枝打ちや倒木の処理など、個人では大変な作業を共同で行ない、居久根の管理にかかる費用の一部について市から補助も受けています。
居久根の防風効果や林内の生態系は多くの人の興味を引き、近隣の中学校や高校、大学などから見学に来る人が絶えません。居久根の管理作業にボランティアで参加する人も増えています。
沢田上地区の居久根は、生物多様性の保全が図られている区域として、環境省から「自然共生サイト」に認定されました。今後は、農泊や子供向けの田植え、イネ刈り体験などもやってみたいと考えているそうです。
文=有賀(農文協)