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山・里山試し読み季刊地域vol.49(2022春号)

兵庫

アジサイ 祭りで人を呼ぶ、プリザーブドフラワーの原料にも|使い切れない農地が宝に変わるアイデア Vol.3

植栽5年目のアジサイ。生花を脱色し、特殊な染料で色付けするプリザーブドフラワーには、花が球形に集まって咲く品種が適している
執筆者:塩見和広(兵庫県丹波市・ファーム市ノ貝会長)

『季刊地域』2022年春号(No.49)掲載「祭りで人を呼ぶ、プリザーブドフラワーの原料にも」より

 2014年8月16、17日に丹波《たんば》市を襲った豪雨は、私の住む市ノ貝《いちのかい》集落の家屋や田畑にも大きな爪痕を残した。

 2年後、市は復興対策としてアジサイ栽培に補助金を出すことを決定し、市内にある、プリザーブドフラワーの分野で国内トップ企業の大地《おおち》農園が苗を無償提供し、花の買い上げも約束した。集落の復興と活性化を目指し、その年の秋に自治会員19人の賛同を得て「ファーム市ノ貝」を立ち上げ、アジサイ栽培に挑戦することにした。会員は8割が60歳以上だ。

 被災した農地とその周辺の田畑にウネを立て、寒冷紗をかける単管パイプを組み、周囲にはシカが新芽を食べないよう高さ2mのワイヤーメッシュ柵を設置した。16年に苗を定植し、現在は54aに720株ある。

 植え付け2年目には、復興支援のお礼を兼ねてアジサイ祭りを開催し、約200人が訪れた。大学生にも運営を手伝ってもらい、イノシシの焼肉もふるまった。以来、コロナで規模を縮小しながらも毎年7月に開催している。

 アジサイは普通、梅雨の時期に満開になるが、プリザーブドフラワーの原料として収穫するのは7月末~8月だ。寒冷紗で直射日光を遮りながら長く育てると、ガクに厚みが出て、硬い花になる。

プリザーブドフラワー
基本は生花で出すが、大地農園がすぐに引き受けられない時は束ねて自然乾燥させる。会員には売り上げから作業賃を払う

 定植して5年を迎えた昨年の売り上げは33万円で、株が生育し花数が増えるのに合わせて、少しずつ増えている。一つの株から大きな花を30輪収穫できると、収益はこの倍以上になる。それには、摘花に加えて、日焼けを防ぐ寒冷紗の設置が欠かせない。目標は1株から50輪収穫することだ。

 今後はアジサイをさらに増やし、市ノ貝に来てくれた人に喜んでもらえるよう農産物等を販売するフリーマーケットを充実させ、コンサートも開催したい。アジサイを通して、人々のふれあいの場ができたのは「災い転じて福となす」だ。


『季刊地域』2022年春号の「農地の粗放的な利用 品目と使い方」コーナーには、全19品目についての記事が掲載されています。ぜひ本誌または「ルーラル電子図書館」でご覧ください。

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