
齋藤聖人さんは、400年以上続く稲作農家の16代目。キツイ・汚いなど、農業にネガティブなイメージを持ちながらも、11年前に山形県川西町へUターンして就農した。
「どうせ農業をやるならカッコよくやりたい。地域の担い手も減っているし、いろんな人に農業に興味を持ってもらいたい」という想いから、「スーツ農家」と名乗りスーツ姿で農作業をしている。現在は21haの田んぼで5種類のイネをつくり、系統出荷のほか自身のECサイトでも販売する。
この間、コロナ禍の米余りを体感して、稲作を続けるためには米の新しい需要をつくることが必要だと考えるようになったそうだ。
そこで昨年から、米でできたお椀を販売するようになった。米をパウダー状に加工して樹脂を混ぜて原料にするそうで、齋藤さんのつくる米「雪若丸」が55%入っている。世界的デザイナーと共同で制作した漆塗りで、ご飯にもカレーライスにも幅広く使える形のお椀にした。
「このお椀で、自分がつくるお米を食べてほしい。今後はお箸やスプーンなども制作したい。学校給食で使ってほしい」と齋藤さんの野望はどんどん膨らむ。お米は食べるだけじゃない、と教えてもらった。
(農文協 佐藤優紀)