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【小さな田んぼの収穫・乾燥法】Vol.2 はざ掛けのための「ならし」の材料

『季刊地域』2025年秋号(10月6日発売)の特集は「米騒動の『次』へ お米と田んぼの誘引力」。いま米を自分でつくることに関心を高めている消費者と、そんな人たちに仲間になってもらおうと新しい試みを始めた農家・農村の動きを取り上げています。このミニ連載(3回)は、特集に入りきらなかった秋の田んぼ作業のノウハウを、雑誌発行に先駆けて先行公開します。
前回に続いて、八木直樹さんからのお米づくり初心者へのアドバイス。はざ掛け準備編です。

執筆者:八木直樹(千葉県南房総市)
執筆者 八木直樹(やぎ・なおき)
東京都生まれ。1994年、前年の「平成の大冷害」を機に米が緊急輸入されたことをきっかけに農業と食に関心を持ち、97年に千葉県の旧三芳村(南房総市)で就農。以来、有機農業を続けている。
八木直樹(やぎ・なおき) 東京都生まれ。1994年、前年の「平成の大冷害」を機に米が緊急輸入されたことをきっかけに農業と食に関心を持ち、97年に千葉県の旧三芳村(南房総市)で就農。以来、有機農業を続けている。

「ならし」とは

はざ掛けのために竹や木を組んでつくる干し場を、当地では「ならし」と呼びます。ならしを組み立てるのと稲束を掛けるのは同時進行。掛ける人が4人もいると、 ならしづくりは大慌てとなります。追い付かれないようにならしを組んでいくにはどのようにしたら早く確実にできるか、 手順やヒモの縛り方、 竹の配り方などを考え工夫してきました。前回紹介したのはそれらのほんの一部です。

ならしは、地元で得られる竹が主な材料です。房総半島は台風の影響を受けやすい地域で、時には強風により倒されて、すべてやり直すこともあります。 しかしバランスよくはざ掛けができれば、 風向きにもよりますが、 風速15m(木の枝が折れる程度) くらいまでは耐えられます。

やぎ農園のはざ掛けの様子
やぎ農園のはざ掛けの様子

竹材のつくり方

▼竿

竹の種類はマダケが最適。 太すぎず肉厚も適当で扱いやすい。
長さ7m、 先端の太さ4~5cmに切り揃えると使いやすい。
10a当たり 25~30本必要。

竿用に切り出した竹
竿用に切り出した竹

▼脚

マダケが使いやすく丈夫だが、 密生している場所が限られる。
川沿いに密生しているメダケが本数を確保するにはよい。
長さ7尺 (2.1m) に切り揃える。 元は節の少し下で切ると割れにくい。
12本ずつ束ねると、ならしづくりの時に配りやすい。
10a当たり300本ほど必要。

▼枝の落とし方

①枝の元にナタの刃先を入れておく。

②峰打ちすると枝はきれいに取れる。

竹の枝を落としているところ
竹の枝を落としているところ
枝の落とし方

*『季刊地域』秋号(No.63)の誌面では、八木さんがはざ掛けを続ける理由や、ならしの組み立て方、ヒモの結び方について図解で解説しています。ぜひ、誌面もご覧ください。


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小さな田んぼの収穫・乾燥法(全3回)

  • Vol.1 バインダーでのイネの刈り方とはざ掛けの仕方
  • Vol.2 はざ掛けのための「ならし」の準備
  • Vol.3 長持ちさせるバインダーの使い方
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