「おやじの会」というネットワークがある。小学生の父親をはじめ、OBや教師も参加する地域組織で、全国に4000ともいわれる。照井貴広店長は1995年から鹿島台地区の旗振り役として奮闘してきた。

 地区対抗ソフトボール大会やバザーなどを開催していたが、東日本大震災を機に、活動は復興支援へと変わった。

 震災時、鹿島台店は本棚が30㎝ずれただけで翌日には開店できた。本棚の棚板の手前部分を高くして、本が飛び出さないように工夫もしていた。

 しかし気仙沼店は大きな被害を受け、照井店長はその支援に乗り出した。業務に必要なパソコンを企業などからもらい受けて届けるにあたり、車を出すなど力を貸してくれたのが、ともに「おやじの会」で活動していた仲間だった。

『立て!おやじ! オヤジの会の地域に寄り添った支援活動』。
A5判、58ページ。残念ながら現在は品切れ。
売上金の一部は被災地の子どもの交流支援にあてている

 パソコンは学校へも届けるようになった。学校では設備修繕に必要なノコギリやペンチなどの工具も不足していた。支援物資には工具は含まれていないことがわかり、おやじの会で支援金を集めて工具を手配したり、手分けして学校へもっていくようになった。

 震災から1年が経過した12年4月、全国からの支援への感謝も込めて、このあたりで活動を総括しようということになり、『立て!おやじ! オヤジの会の地域に寄り添った支援活動』という小冊子を発行。メンバーの活動報告をもちよってまとめた。危機的な場面に遭遇したこと、支援物資を通じて奔走したことなどいろんな報告が集まった。

 本屋なんだから得意でしょ?とみんなに言われ、照井店長は冊子の販売も手掛けることになった。

「ナショナルチェーンの書店だけど、地域のニーズをつかむことが大切。地域情報を得て、情報拠点として発信していくためにも、おやじの会のような地域活動は大切」と照井店長。

 地域活動や支援活動などの交流から、市内に軽トラ市も生まれた。照井店長も手帳の販売ブースなどを出展。今後も地域のつながりを生かした店づくりは続いていく。

宮脇書店鹿島台店
〒989-4102
宮城県大崎市鹿島台木間塚小谷地515-2
電話0229-57-1322

文=農文協東北支部 水野隆史

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