長野県木曽町  ブックガーデンYAMAJI

長野県内でも過疎高齢化が著しい木曽郡。廃業する書店も多いなか、倉野恵一さん(39歳)は、生まれ育った木曽で仕事をしたいと家業を継いだ。お客さんと直接つながる〈機動力〉=個配を大切にし、南北50㎞の木曽谷を社長自ら飛び回る。
そんな倉野さんは、平成21年から同じ本町商店街で呉服店を営む三浦茂樹さん(41歳)の発案で「にこにこ配達」の事業を始めた。車がなく、買い物が困難な高齢者のために電話一本で買い物代行をするのだ。しかもお代はレシートに書かれた金額だけ。ただし買い物は木曽町内の商店を原則とするなど、地元商店街の活用を心掛けるようにした。
さらに倉野さんは、「にこにこ配達」の存在を知ってもらおうと、敬老会でビラを配ったり、公民館の旅行会で宣伝したところ200名ほどが登録。いまでは週3件程度の依頼がくるという。

平成3年、国道169号線沿いに郊外型複合書店としてオープン

注文で多いのは、買い置きができない食料品や、ひとりで運ぶのが大変な肥料など。「息子が近くに住んでいるけど、日常のことだとかえって頼みづらくてね」と、ひとり暮らしのお年寄りに好評だ。

書店の元気は地域の元気からと、今日もワゴンが出動!

「せっかく家まで配達するのだから、電球を頼まれたら取り付けまでやってこよう」「配達+ひと仕事だ!」と燃えるふたり。実際は、茶飲み話の相手という「ひと仕事」が多いが、安否確認も含め、そうした時間も大事にしている。

ある日、ながいこと足を患っていた70代の女性から、リハビリシューズの注文が入った。専門靴のため、店向かいの靴屋に対応を依頼したところ、靴屋の主人はさっそく色ちがいの靴を数点そろえてくれた。〈機動力〉の輪は商店街にも広がっているのだ。
チラシ代や住宅地図、携帯電話レンタル代などの初期投資は、県の「地域発元気づくり支援金」(195万円)を利用したが、ガソリン代などは配達のついでだからと、今年も自前で継続。依頼がある限り、倉野さんは今日もワゴンを走らせる。

ブックガーデンYAMAJI
〒399-6101 長野県木曽郡木曽町日義元原4633-1
☎0264-24-2455

文=農文協関東甲信越支部 大原美織

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