このコーナーは、「ゆるがぬ暮らし」「ゆるがぬ地域」づくりに取り組む、全国各地の耳寄りな情報です。webではその中のむら・まち元気便から“ちょっとだけ”公開します。

1%取り戻し戦略に居酒屋はどう?
居酒屋「ほたる」に行ってきた

大池俊二


店内は老若男女で満席だ

長野から
 夜の帳が下りるころ、懐かしいギターの音色が漏れ聞こえてきた。飯田市龍江地区、むらで廃JA支所を買い取って始めた手づくり居酒屋「ほたる」の開店だ(本誌25号p66)。今日のマスターはほたるを経営するNPO法人七和の会の理事長。メニューボードには黒はんぺん、蜂の子、手打ちそば、スイーツなど本日のオススメがズラリ。どれも200円以下と安い! まずは生ビールで乾杯し、つまみを注文する。
 そうしているうちに入口近くに高座が用意され寄席が始まった! 本日は特別企画「ほたる寄席」の日でもあったのだ。ラッキー。噺家は参流亭べら坊。うまい! おもしろすぎる! あっという間に店内は笑いの渦に巻き込まれた。べら坊こと平沢さんは20年近く前に東京からⅠターンし、小学校で落語を教えたこともあるベテラン。ギター名人といい落語家といい、むらはタレント揃いだ。
 店の運営がまたユニーク。毎週土曜日のみ、17〜21時の営業だが、マスターは七和の会の役員15人の当番制。当初食事メニューは缶詰だけだったが、「それじゃ味気ない」と当番の自己責任メニュー体制に変更した。メニューを考え、仕入れから調理までを当番がマネージメント。来店客数は平均20人で、客単価1500円を目安に考えるそうだ。売れ残りは担当者の持ち帰りとなるので、真剣勝負。
 去年は50週で約1000人が来店、売り上げは150万円だったそうだ。居酒屋は地域内を巡るおカネを1%取り戻すのにとっても有効そうだが、地域のこの盛り上がりのほうは1%どころではない! またぜひ行きたい!

中山間地域でも除草いらず
シバザクラ6万株で畦畔覆う

小森智貴


農苑ピクニックの日は地元出身者も
スタッフとして手伝いに来る

福井から

 高浜町横津海集落(21戸約100人)では、2011年から集落内の田んぼの畦畔や用水路・排水路の法面、川の土手などにシバザクラを植栽してきた。その数6万株以上。4月中旬から5月上旬までの花の見ごろには、多い日で1日1500人もの人が訪れる。15年には全国水土里ネット主催の「農業農村整備優良地区コンクール」で農村振興局長賞も受賞した。
 きっかけは09年から始まった基盤整備。10aの田を30aにする事業で、むらでは換地や広くなる畦畔の管理について何度も話し合いを重ねたという。集落営農もなく、各家が田んぼを管理してきた兼業農家の集落。息子世代はいても勤めに出ており、草刈りはもっぱら女性や高齢者の仕事になっていた。そこで草刈り作業軽減のためにも、畦畔を何かに生かせないかと検討。シバザクラを植栽し横津海を「花のふるさと」にしようと挑戦が始まった。
 当初、町や県は外来種であるシバザクラの植栽に難色を示したが、「地元の景観を守りたい」「集落を出た息子世代も振り向かせたい」と説得。多面的の活動組織「かじか会」が中心となって、基盤整備が終わった畦畔から順に防草シートを敷いて、シバザクラを植えていった。苗は最初だけ購入し、その後は挿し木から育苗した。
 基盤整備終了後の13年には「よこつみ野良クラブ」を結成。毎年「よこつみ農苑ピクニック」という1日のイベントや、2週間限定の茶屋もオープンする。茶屋ではぜんざいやシバザクラ苗の無料配布ほか、地元の農産物販売も好評。苗販売は通年でも手掛け、売り上げは年間100万円ほど。補助金に頼らない活動に発展している。

就労支援施設に経営の一部を移譲
農の可能性を再発見

青田浩明


ワタの畑で作業する利用者たち

熊本から
 上天草市のNPO法人どんぐり村は、障害者専門の就労支援センター(就労継続支援B型)。ビーズ小物づくりやメール便の配達などを障害者の仕事として請け負っています。ここで2015年11月から「農福連携事業支援員」として働く青山司さんは、有機農業や平飼い養鶏を実践する農家。福祉の仕事に関わることで障害者の工賃と働くことの充実度を高めたいと日々考え実践しています。
 その一つとして、青山さんの養鶏部門をどんぐり村に移譲しました。青山さんは長年平飼いで70羽ほど育て、こだわりの卵を地元の保育園やお得意さんに直接配達していました。しかし高齢になり毎日の配達が大変になってきていたので、青山さんにとってもいい方法。農業と福祉が関わることへの可能性を感じています。
 今のところどんぐり村の利用者に任せているのは配達のみですが、「いずれはエサやりや採卵も任せていきたい」と青山さん。利用者も生きもの相手の仕事に楽しさを感じているそうです。
 また、青山さんの知人が区長を務める串集落で昨年、数年ぶりに夏祭りが復活。どんぐり村で出店し、たこ焼きやかき氷、ビーズ小物などを販売しました。小さな夏祭りに業者は来てくれなかったので出店は大好評。どうしても閉鎖的になりがちな障害者施設ですが、こうして地域との繋がりをつくり、お互いに助け合う存在になりたいと青山さんは意気込んでいます。
 昨年からは青山さんの畑でワタの栽培もスタート。糸つむぎや機織りの道具はどんぐり村にあるのでオリジナル商品をつくり、保育園で機織り体験などもしていきたいと話してくれました。

知識ゼロからの挑戦
キャンパス内でミツバチ飼育

大森史子


「あいみつ」100g 500円

大阪から
 茨木市にある追手門学院大学では、2014年度から今堀洋子准教授と学生たちによる「追大ミツバチプロジェクト」が進行中。キャンパス内でミツバチを飼育しながら、生態を学んだり、ミツバチを通じた地域交流をしている。
 きっかけはキャンパス近くにある神社のムクのご神木に日本ミツバチが姿を見せたこと。里山に隣接する大学は、蜜源となる植物にも恵まれていた。ちょうど大学でスタートした「プロジェクト型授業」として認められ、養蜂にチャレンジすることになったのだ。授業科目なので単位もつく。2年生以上、最大20人が受講できる。
 とはいえ、今堀准教授を含め、みんな養蜂の知識はゼロ! 実家の両親が養蜂をやっているという大学職員から巣箱を譲り受け、専門家に指導を仰ぎ、日本ミツバチ1群のキャッチになんとか成功。しかし、スムシに生活環境を奪われミツバチは脱走してしまった。
 15年度は西洋ミツバチを1群購入。スズメバチの襲撃を受けながらも飼育を続け、大阪・梅田で養蜂に取り組むNPOに預けて無事に越冬もできた。そして16年6月、近所の養蜂家に道具を借り、ついに初の採蜜。30?40ℓ採取でき、キャンパスがある安威地区にちなんで「あいみつ」と命名。瓶のラベルも学生たちがデザインした。学園祭や地域のイベントで販売したところ、あっという間に完売となったそうだ。
 学生たちは、度重なる困難を経験し、自然相手の仕事の難しさを体感。またこの活動を通じ、地元の小学生との交流も生まれた。ミツバチがつないだたくさんの縁。その輪がこれからもっと広がっていくことを願う。

追大ミツバチプロジェクト
☎0765‐72‐3753
https://www.facebook.com/oipachi/

えひめAIも使用
シルバーの英知を結集した完熟堆肥が大人気

香川貴文


発酵促進のため地元産サトウキビ
からとった糖蜜も使用

沖縄から
 南城市シルバー人材センターでは2015年8月から「くがに1号」という堆肥を製造販売しています。15㎏260円という安さもあって、年間2万5000袋ほど売れる人気ぶり。使った農家からの評判も上々で、「3・5㎏の巨大なショウガがとれた」と写真を見せてくれた人もいました。
 この堆肥の原料は、センターの業務で発生する刈り草や、剪定枝のチップ、そして市の下水処理場や各家庭の浄化槽から出た汚泥です。これらを混ぜ合わせた土に、えひめAIと光合成細菌をかけて発酵を促進。70℃以上の温度で2カ月ほど発酵させながら何度か切り返します。その後はふるいにかけて半月ほど乾燥させ、袋詰めして完成です。
 そもそものこの堆肥をつくり始めたのは、センターから出る刈り草や剪定枝の焼却処分に多大なエネルギーが必要だったから。これらのゴミは水分を多く含むため相当の火力が必要で、焼却炉に負担が大きいうえに環境にも優しくないのです。そこで、環境循環型社会の実現を目指すセンターでは、10年から刈り草や剪定枝を使った農業用資材を研究。その後、市から汚泥処理に困っているという話を聞き、それも一緒に活用した堆肥づくりを目指し「くがに1号」の商品化にこぎつけたのです。
「くがに」は方言で「ゴールド(黄金)」という意味。シルバーのゴールドな英知を結集して開発したことからネーミングしたそうです。例えば、発酵菌。当初使用していたEM菌はコストが高く悩んでいたとき、「えひめAIと光合成細菌なら安くできる」と会員から提案があり、切り替えることになったそうです。

南城市シルバー人材センター
☎098‐852‐6655

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