今やっている活動は将来のお客さんづくり。長い目で見ています」と話すのは店長の福士裕康さん。活動とは本のPOP(販売促進用の広告媒体)づくりの出前授業のことだ。地元の小学校からの依頼で2013年に始まった。
 書店には必須のPOPだが、最近、教育現場では自分の考え(感想)を簡潔にまとめて人に伝える「言語活動力」を鍛えるツールとして注目されているのだそうだ。実際、どんな授業なのか福士店長にうかがった。
 5年生の国語の単元を使って2カ月で4回開講。まず初回は自分の好きな本を持ち寄り、ハガキサイズの紙でPOPを自由につくってもらう。が、子供たちははじめての体験に四苦八苦。本のあらすじを延々と書いておしまいとか、本のタイトルすらないものもある。
 そこで福士店長が目を引くPOPのポイントを板書。⑴本のタイトルは必ず書く、⑵内容紹介は詳しく書いても100〜200文字程度、見出しで引きつけるなら10〜20文字が目安、⑶絵が得意ならタイトルと絵だけでも効果的。「スーパーのタイムセールのPOPを思い浮かべてみて」とアドバイスする。
 2週間後、2回目の授業は各自修正したPOPを使って1人1分で本を紹介し、誰のオススメ本が読みたいか投票する。3回目は共通の本(名作『大造じいさんとガン』)でPOPを製作。同じ本でも誰のPOPなら買うかを競わせることで、表現の工夫に気づかせる。

小学5年生がつくった『大造じいさんとガン』のPOP。福士店長曰く「タイトルと絵を見て『人間と鳥の話』だと想像しやすく、何より文末の『気持ちに注目してよんでみてください!』という締めくくりが、このPOP最大の魅力」

 そして最終回、再び『大造じいさんとガン』のPOPに再挑戦する。ここまで来ると秀逸な作品ができてくるため、福士店長や先生も驚くそうだ。
「店頭には日々たくさんの本が並ぶが、お客さんに選ばれるのは数冊。『社会のきびしさ』といえば大袈裟だけど、POPを通して伝えられるのは本屋ならでは」
 完成したPOPは学校の図書館や廊下に展示。もちろん「かえで」にも自由に置ける。これで店頭販売が伸びたわけではないが、子供たちが将来「POPを教わったあの本屋に行ってみよう」となればいいと、今年も出前授業を続ける。

創業8年目、黒石市八間道路沿いで本や文具、事務用品を販売。市内無料配達や官公庁納品も行なう

Book Shop かえで
〒036-0362  青森県黒石市京町33-2
☎0172-88-6608

http://bskaede.web.fc2.com/

営業時間9:00〜21:00

文=農文協東北支部 水野隆史

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