『季刊地域』のこのコーナーでは、本や映画のほか、全国各地の読者のみなさま、農文協の支部職員から寄せられた「ゆるがぬ暮らし」を応援するさまざまな地域情報をお伝えします。 webではその中の情報ターミナルから“ちょっとだけ”公開します。

材料費はほとんどゼロ
手づくり「小枝えんぴつ」が人気

農文協東北支部 境弘己

福島県会津坂下町の八幡小学校坂本分校は2005年に廃校となったが、2007年から彫刻家、画家、陶芸家ら10人余が活動し、一般の人も気軽に創作できる「里山のアトリエ坂本分校」に生まれ変わった。ここで生まれた人気商品が「小枝えんぴつ」。陶芸家で学習塾主宰の菅敬浩さんが分校前の里山整備で出たサクラなどの小枝でつくってみたのが始まり。

材料は小枝と短くなった鉛筆の芯だけ。小枝は鉛筆の長さに切り、先端に2.3㎜径のドリルで深さ4㎝ほどの穴を開ける。芯は鉛筆を3日間水に浸けて取り出す。穴に木工用ボンドを入れて芯を挿し、先を削れば完成。1本500円で販売し、同額で制作体験もできる。手になじみ樹種による木肌の違いも楽しめ、1年余で約300本も売れた。文具店など県内3カ所に卸し、売上げの一部は分校の運営費に充てている。

里山のアトリエ坂本分校(菅敬浩) ☎090-4550-2596

レトロな木造校舎でふるさと
体験昭和30年代の学校給食ランチも

農文協関東甲信越支部 漆原七恵

栃木県茂木町の木幡小学校は2006年に廃校となったが、有志が自己資金で改修し、2009年からNPO法人昭和ふるさと村として、さまざまな「ふるさと体験」を提供している。木造校舎は昭和初期の建築で「ふるさと館」と命名。当時を再現した教室、生活資料館、懐かしいお菓子やおもちゃが並ぶ駄菓子屋まである。

教室や周囲の畑では、そば打ち、こんにゃく・おやきづくり、陶芸、木工、農業などが地元の名人の手ほどきで体験でき(1575円〜)、3日前までに予約すれば教室で昭和30年代の給食ランチ(600円)も食べられる。理科室や校長室があった別棟は宿泊施設で、1泊2食1万500円(平日9450円)。1年間でふるさと体験は600人、宿泊施設は5000人が利用。スタッフ10人(地元7人)が働き、学生たちが住民と盆踊りを企画するなど交流の拠点にもなっている。

NPO法人昭和ふるさと村 ☎0285-64-3116 http://www.npo-furusato.com/

おとなも学生も楽しくゲンかつぎ
「必勝!! 合格祈願ノ旅」

編集部

熊本県球磨村では「一勝地」という縁起のいい地名を生かし、勝ちたい人のための散策コース「必勝!! 合格祈願ノ旅」を2005年度から始めた。期間は受験シーズンの12〜3月。コースには、807年創立の「一勝地阿蘇神社」や「一勝地万十(まんじゅう)」が人気の「ふるさと振興センター」「一勝地温泉かわせみ」などがあり、徒歩約40分で回れる。

温泉ではカツ丼やカツとじうどんなど「勝ち」にこだわった「必勝御膳」(1111円)も用意。JR一勝地駅のお守り形の入場券(160円)を購入すると、すべり防止砂「砂ita」(一勝地阿蘇神社で祈祷ずみ)をプレゼント。受験生のゲンかつぎアイテムとして好評だ。おとなも学生気分で回れるよう、駅では「学生服」も無料で貸し出す。2009年、同駅入場券は前年より1万枚多い1万9000枚超が売れ、過去最高を記録した。

熊本県球磨村観光案内所 ☎0966-32-0019

直売所の売上げアップも三方よしの「まるしぇ便」

農文協電子提携局 保原 樹

北海道のJAいしかりは2010年、石狩市から「地場産品地域内流通促進事業」を委託され、管内の直売所「地物市場」に出荷される朝採り野菜を即日配達する「まるしぇ便」を開始した。

会員は登録制で、市内の子育て世代から高齢者まで、現在150名が登録。配達代は1回210円で、共同購入(3軒以上)は無料となる。JAから毎週届くカタログで注文するという仕組みだ。

集荷は毎朝、7時から8時半。「地物市場」までの出荷が困難だった高齢農家も「まるしぇ便」で大助かり。09年まで52名だった出荷者が77名となり、品数も増えたことで直売所の売上げ増にも貢献している。前年度売上げの4280万円を2010年は半年で達成した。

「石狩は山も海もあり、産物の宝庫。地場の食材を通年届けられる」と、同JA営農企画課の林徳晴さん。事業は来年度で終了だが、取り組みは継続していく。

JAいしかり「地物市場」 ☎0133-73-4500

厄介者のガンガゼウニば、
名物の美味かせんべいに

農文協九州沖縄支部 青田浩明

長崎県佐世保市から船で50分、黒島(人口500人)では2010年、ガンガゼウニの加工による島おこしの取り組みがはじまった。

ガンガゼウニとは、長いトゲに毒をもち、海藻を食い荒らし、磯焼けの原因ともなる〈島の厄介者〉。えぐみがあるため、これまでは駆除の対象でしかなかった。

そこで佐世保市の菓子店・草加家の髙木龍男社長は、ウニの風味を生かすために酒粕とカボチャを混ぜ、せんべいに塗って焼きあげた「うにまる」を開発(5枚入り735円)。さらには、土産づくりに留まらないよう子どもたちを鎹に「ただいま。くろしま。プロジェクト」を立ち上げ、島づくりの目標プランも提案した。

「うにまる」のデザイナーと小学生が島の風景をスケッチして商品のポスターを作成したり、島に残る「カッパ塚伝説」を題材におとながカッパの絵の展示会を開催。

草加家 ☎0956-38-3808 http://soukaya.co.jp/

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