パークゴルフの発祥地で知られる北海道幕別町では、健康増進の一環として2016年から「ストレスチェック事業」が始まりました。これは、図書館に測定器を1台置き、診断結果に基づいて司書がストレス緩和に役立つ本を紹介するというユニークな取り組みです。

図書館のカウンターでストレスチェック。機器は地方創生交付金でそろえた

「60〜70代を中心に、多いときは1日に10人以上がストレスチェックに来ます。月に何回も来るリピーターもけっこう多いですよ」と司書の民安園美さんは言います。
 ストレスの測定は、機器の金属板に両手の人差し指を2分ほど押し当て心電と脈拍を計測すると、自律神経の乱れやバランスがわかります。その後、診断の評価と年齢を踏まえて司書がおすすめの本を紹介。民安さん曰く、たとえばストレスチェックで「交感神経を高めるために適度な運動をしましょう」という結果が出れば、ヨガやウォーキング、腰痛の人ならストレッチに関する本を、「副交感神経を高めるリラックス法を取り入れましょう」という診断の場合は、風景写真やかわいい動物の写真集などを勧めるそうです。また、単に診断結果だけでなく利用者の話を聞いて選書することもあります。「最近、身内に不幸があって元気が出ない」という人には、やさしくなれる言葉集を勧めるなど、ひとりひとりに合った本を選んでいるといいます。
 館内には、アロマや入浴、睡眠、エッセイ集、写真集など、ストレス解消や疲労回復に役立つ本を集めたコーナーを設置し、ストレスの症状別にまとめたおすすめ本のリストも作成しました。また、「笑い」でストレスを発散しようと、図書館にプロの噺家を招いて落語会を開催。75人の定員に対して毎年100人以上が集まる人気のイベントになっています。

図書館の閲覧コーナーを利用した落語会

文=農文協 北海道支部 高橋明裕 

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